生ゴミ堆肥化学習会(水口テクノス視察)レポート

エコネット丹後の資源化担当Mです。

過日行われました「循環型社会をみんなで考える市民フォーラム」に引き続きまして、
生ゴミ資源化(堆肥化)に関する学習会ということで、今回は生ゴミ堆肥化を行っている
先進地(滋賀県甲賀市水口町)に行ってきましたので、ご報告いたします。

CA3J0046.JPG告知から当日まで期限が短かったのですが、11名が参加しました。

P1070400.JPG水口(みなくち)システムを説明してくださっているダンディーな井狩氏。

まず、水口システムについて紹介です。

このプログラムに参加している市民は、上写真の机の上に乗っている生ゴミバケツに無償配布される種堆肥(手で持っている袋のもの)と生ゴミをサンドイッチにして入れ、週に2回、回収日に収集所においてある収集運搬BOX(ねずみ色の大きな容器)に入れます。

・・・・・・

以上です。
後は㈱水口テクノスが回収し、堆肥化し、再び住民へ種堆肥として配布します。
行政は生ゴミ処理費に代わる委託料を㈱水口テクノスへ支払います。

「手間隙かけて必要以上に細かくする必用はないんです。貝殻だって少し砕いていただければむしろ入れていただいた方がよいくらいです。魚も丸ごと、神様仏様に捧げる生け花だって大丈夫です。」(井狩氏)。

2010年11月26日に開催したフォーラムで議論しましたが、
生ゴミは燃えるゴミに出せばそのまま焼却されます。
生ゴミの主成分は「水」なので水を燃やすのに私たちは税金を払っているようなもの・・・。

お金の問題だけならまだしも、生ゴミは、育まれた命(作物の栄養など)の破片であり、
本来土へ還さなければならない栄養をも含んでいます。
それを他のゴミと一緒に償却することで無駄(粗末)にしていることが問題です。
(一般廃棄物の焼却灰は重金属や時にダイオキシンを含むため資源化しにくく、また、
燃焼過程で化石資源を使用していることもあり、持続可能ではない。)

なぜ堆肥化できない(取組が遅々として進まない)のか?

そこには既存施設や施策との兼ね合い、臭いや収集コスト、住民との協力が必要なことなど越えなければならない壁がいくつかあるようです。

水口システムは、

①無償で
②種堆肥を配布し
③負担に感じさせない努力をしている

ことが特徴で、堆肥化そのものは後述するように、シンプルな方法です。
そこを実現させるまでの取組を諦めずずっとしてきたことが成功の要因です。

住民側の取り組みについては今回は視察できませんでしたので、
以下に回収された生ゴミの堆肥化工程(㈱水口テクノスの取組)をみていきましょう。

P1160730.JPG整然と並ぶ生ゴミ回収(収集運搬用)容器たち。

工程① 生ゴミの収集(同時に種堆肥の配布)

P1160738.JPG⇒工程② 計量(写真なし)
⇒工程③ 堆肥化処理槽に投入して一次醗酵処理(約60日間)

臭いは気になるほどではありません(夏場は若干するそうですが)。

P1160743.JPG⇒工程④ 二次醗酵(熟度の調整など)

この時点ではまだ粗大な生ゴミ(とうもろこしの芯など)やプラゴミも混ざっています。
これらは分解されないだけで問題になりません。

P1160747.JPG⇒工程⑤ 選別

熟成した種堆肥を振るい選別し、粗大なものやゴミと堆肥を分けます。
ここではスプーンや金属も回収されます。

P1070429.JPG回収したプラゴミや金属(スプーンや時には包丁も・・・)。

P1160755.JPG⇒工程⑥ 堆肥袋詰め

ベルトコンベアに乗って流れてきた種堆肥たちを定量供給機と自動袋詰め機で袋詰めします。
一日フル稼働で1,300袋生産されるそうです。

P1160769.JPG⇒出荷され、工程①へ

現在、8,400世帯から生ゴミを回収し、同時に収集所にて種堆肥を無償配布(配給?)しています。

P1160716.JPGおまけ。副原料としても使われる剪定枝等をガラパゴス(写真の重機)で破砕している様子。
後に生ゴミと一緒になります(水分や醗酵調整に重要です)。

以上、工程概略を紹介しましたが、上述以外には収集運搬容器の洗浄、マニフェスト(廃棄物を処理する際に必用な書類)の発行、排水曝気処理などが工程に含まれるようです。

■水口生ゴミ循環エコロジーシステム(水口システム)の特徴(おさらい)
・種堆肥が無償で配布され、生ゴミとのサンドイッチ材料として使用が推奨されている。
< br />ユニークな点として、
・臭いの吸着と醗酵促進、水分調整が生ゴミをバケツに入れた時点で行なえる
・「無償配布」のため余ったら家庭菜園に使ってもいい、ことを許容している

という2点が挙げられます。
生ゴミを出す市民からすれば、とても取り組みやすいシステムと言えます。

■施設側の声(井狩氏談)
・電気をゴミ発電で生み出せる仕組みがあれば尚いい
・取組世帯数を1万世帯にしたい
・堆肥を売らず、無償で配ってきたことが成功の一因
・農業(有機栽培)利用も実証していきたい
・2万世帯までは現状の施設で受入可能
・市への報告はマニフェスト(廃棄物処理伝票)で全て詳細に行っている
・最初は7世帯から始まった
・住民への説明会や勉強会などを行ってきた

■甲賀市の取組概要についてはこちらから。
 メリットなど市民にとっての分かりやすい広報です。

以上、簡単ではありますが報告でした。

■Mの感想
実際に現場を見て、参加者一同納得しているようでした。
この学習の成果は実際に私たちが暮らす丹後で活かしたいですね。

「行政任せではなく、自分たちでできるところからやろう」
とは理事長の締めの言葉。

ほんとに、そう思います。
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訪問先:株式会社水口テクノス 生ゴミ堆肥化センター(滋賀県甲賀市水口町松尾)
参加者:エコネット丹後理事長(野木)、事務局、会員(主婦他)の皆さん。11名。
日 時:平成23年10月12日(水)8:20~19:00
目 的:先進地事例の検証

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